ポスト金融危機時代にあって、中日両国の経済的依存度は低くなるどころか、かえって増大している。省エネ・環境保護、工業政策の協議、ユビキタスネットワークと電子商取引、物流、金融の監督・管理などの各分野での両国の協力の重要性はますます高まっている。新たな情勢が、両国に世界的・地域的な協力を拡大することを求めている。第一に、国際金融危機は外部市場のニーズを低下させただけでなく、貿易保護主義の台頭という危険をもたらした。中日の経済成長はいずれも国際市場への依存度が高く、ともに手を取り合って貿易保護主義に反対することが、両国にとってプラスになるだけでなく、世界経済の段階的な好転の情勢を保つ上でもプラスになる。また両国企業はいずれも新興国市場の開拓を重視しており、双方はそれぞれの優位点によって補い合うことができる。日本企業は技術、営業販売ネットワーク、資金などで優位にあり、中国企業は価格、製品の適用性、生産力などで優位にあり、両国が共同で第三国市場の開発に当たるのが最も適切だ。
注目すべきは、中日経済協力には信頼によって乗り越えるべき一連の難点が存在する、ということだ。日本は先端技術の輸出に厳しい制限を設けており、中国の望む産業のグレードアップとなかなか歩調がそろわない。チャンスはすぐに消えてしまうもので、日本の政治家が「欧米や韓国は中国市場に焦点を定めており、われわれは迷っている場合ではない。日本が技術で先んじていても、機会をつかまえられなければ、中国市場で先制するチャンスをたちどころに失うことになるだろう」と発言したのも、もっともだといえる。
時の流れは速い。2007年4月に温家宝総理が日本を訪問した際、当時の安倍晋三首相と「中日ハイレベル経済対話」を発足させた。これは両国関係の改善の後に行われた、重大な政策決定の第一号となった。対話は3回目がまもなく開催される。世界経済がようやく安定や回復に向かい始めた今、対話を通じて持続可能な発展を推進するための中日経済協力を模索し、国際金融危機への新戦略をともに練り上げることは、中日両国の経済界にとっての急務であるだけでなく、両国の政治家が果たすべき責任でもあるといえる。
「人民網日本語版」2010年8月27日