シンガポールのユニークな発展モデル

japanese.china.org.cn  |  2010-09-29

シンガポールのユニークな発展モデル。

タグ:シンガポール 経済

発信時間:2010-09-29 12:44:55 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

                   林国本

私は若い頃からシンガポールという国の名を知っていた。というのは、知人にシンガポール帰りの華僑がいて、この人は不思議にも、日本の小学校の唱歌を一字の狂いもなく歌えるので、驚いたことを今でも覚えている。これは第二次世界大戦中の一時期、日本の占領下にあったことと関連があるのだろうが、この人は英語の通訳として仕事をしていた。

中国の改革・開放以降、シンガポールの人たちがよく中国を訪れ、中国の蘇州に開発パークをつくり、中国の近代化とかかわりを持つようになった。仕事の中で、シンガポールのリー・クワン・ユー氏のスピーチを拝聴することも何回かあった。小さな国なのに、これほど影響力があるのは、なぜかと考えることもあったが、自分の担当ではなかったので、常識ぐらいのことしか知らなかった。中国からは時々視察団が訪れ、シンガポールの都市管理のノウハウを参考にすることもあった。

そして、さいきん、日本の朝日新聞で、「街、丸ごと輸出。工業団地・住宅・病院・・・・・・すべて建設」というテーマの記事を見て、大いに感じるところがあった。朝日新聞によると、シンガポールの面積は東京の23区とほぼ同じ。人口は約500万人で、天然資源に恵まれないのに、1人当たりのGDPは日本を上回る、豊かな都市国家に成長した。世界じゅうから外資と人材を集め、独特の発展モデルをつくり上げたらしい。街づくりはすでに国際ブランドとして確立されているということである。


考えようによっては、シンガポールのやり方では北京市ひとつだけでも、1人当たりのGDPで日本を上回ることも不可能ではないのだ。もちろん、シンガポールがここまで来るには、いろいろ曲折があったと思われるし、また、これからも世界経済の変動の波をかぶることも避けられないと思うが、こういうユニークな発展モデルは参考に値すると思う。もちろん、中国はシンガポールと国情も違うので丸写しは不可能だろうが、1人当たりのGDPが相撲の世界ではまだ幕下クラスの中国にとっては、いくらGDPの規模では世界で2位になろうとしても、この1人当たりのGDPの低さは、やはり歯を食いしばってでも、なんとかしなければならない。

中国は国土も広いし、石油や良質の鉄鉱石など、一部の資源は外部に依存しなければならないが、このところ、しきりに強調されている発展様式の転換や科学的発展観を着実に実行して、中国の特色あるというユニークな発展の道を歩むことが必要である。

さいきん、中国の東北地区の黒竜省では現代農業の確立ということが提起され、テレビでは広大な農地に飛行機で農薬を撒布している映像がよく見られる。近代的な、「コンピューター制御」の灌漑用水路がはりめぐらされ、旱害とか冠水に悩むことはなくなる、とかいろいろ、理想像が描き出され、やがては日本のコシヒカリに匹敵する米を全国各地に出荷する時代が来るらしい。このモデルの構築に成功すれば、アジアの農業にとっても寄与することになろう。そして、モデルとして丸ごと「輸出」することも不可能ではない。

さらにはまた、各省でそれぞれの特色にもとづいて実行されている近代化策も、それが実現したあかつきには、シンガポールのようなユニークな内容を持ったモデルが全国各地にできることになろう。


だが、考えてみると、中国は13億の人口があり、各地の発展レベルも違い、国民の教育レベルも異なり、人口500万のシンガポールのようにすんなりといくとは考えられないが、長い目で見れば、30年ないし多く見積もって50年後には見違えるような中国になっていることは間違いない。

シンガポールは、国民全体の資質の高い国であり、また国土も小さく、人口も少ないので、中国と比べれば比較的やりやすいようにも思えるが、しかし、根本は国民1人、1人のガンバリズムと不可分であろう。GDPの総量、1人当たりのGDPばかりでなく、国民全体の資質の向上、民度の向上が不可欠である。そして、壮大なビジョンを現実のものにするための強力なリーダーシップも不可欠である。中国の国情をつねに念頭において、中国の特色あるものを作り出していくのである。

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年9月29日

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