ワシントンで開かれていた国際通貨基金(IMF)・世界銀行2010年年次総会が米国東部時間10月10日に閉幕した。3日間の会期中、二大国際金融機関の187の構成国が、国際通貨システムの健全化、世界経済の回復、IMF改革などの問題をめぐって激しい議論を繰り広げた。
中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は会議で、世界経済回復の状況にいまだ楽観視できない中、IMFと世界銀行は国際通貨システムの健全化に取り組み、主要通貨の為替レートの相対的な安定を維持すると同時に、金融システム改革を加速すべきだと呼びかけた。
世界的「通貨安競争」は危険
世界金融危機の衝撃波がまだ収まっていない中、通貨安競争の暗雲が漂い始めており、為替レート問題は今回のIMF・世銀総会の焦点になった。今回の年次総会で、多くの構成国はIMFと世界銀行が日本、ブラジルやいくつかの新興経済国の相次ぐ自国通貨切り下げ措置を阻止しなければ、世界的な通貨戦争が起こる可能性が高いとの認識で一致した。
円高が日本の製造業に悪影響を及ぼすとして、日本は10月5日に追加利下げを行い、日銀は政策金利を0.1%からゼロに引き下げた。これは通貨戦争爆発の前兆であると一般的に受け止められている。
また、米国のドル切り下げの加速化が、ドル資産保有国の経済・金融の安全を脅かしている。円とユーロが様々な要因で下がり、さらに多くの国がこの「通貨切り下げ戦」に加わることになるのも当然だが、この種の通貨安競争は世界経済の回復を脅かしている。
今回の年次総会で、IMFと世界銀行は自国通貨の操作を経済回復促進の武器にしないよう提起しているが、通貨安競争の歯止めとなる具体的措置は出していない。これに関する決定は、11月にソウルで開かれるG20 会合に持ち越される。