各国が追加の量的緩和を計画する中、中国は20日、突然の利上げを発表した。中国人民銀行のこの決定は市場に熱い議論を巻き起こしたが、なかでも、通貨政策は転換されるのか、通貨政策はどういう道に進むべきかが焦点となった。
ある専門家は、今回の利上げは中国の通貨政策の重大な転換を意味すると指摘。世界的な通貨緩和状態からの脱却をはかっていると述べた。中国国際経済研究会の張其佐副会長は、今回の利上げは金融危機への対応後の中国の通貨政策の重要な転換点であり、成長重視からインフレ重視への転換を意味すると指摘した。銀河証券首席経済学者の左小蕾氏は、今回の0.25%の利上げでは現在の資産バブル問題を解決することはできないことから、今後連続して利上げが行われるだろうとの見方を示した。
一方で、たった1回の利上げでは通貨政策の転換とは判断できないとする専門家もいる。中国人民銀行貨幣政策委員会委員で清華大学教授の李稻葵氏は、現在の経済情勢は国内外ともに複雑であり、1回の利上げでは中国の通貨政策に根本的な変化が発生したとは判断できないと指摘。中国は依然として適度な通貨緩和を実施しており、さらなる利上げが行われるかどうかは今後なお観察しなければならないとの見方を示した。
交通銀行首席経済学者の連平氏は、預金・貸出金利の調整という金融政策の実施は往々にして経済情勢の変化と切っても切れないものであり、その後の利上げの頻度については、今年と来年の国内外のマクロ経済情勢の変化に基づいて決定する必要があるとしている。
注目すべきは、中国が利上げに踏み切った折から、主要国は一段の通貨緩和の扉を開いたように思えることである。英米は第2弾の量的緩和を計画しており、中央銀行が債券を購入する方法で金融機関に流動性を注入する。世界第3の経済国である日本は、景気刺激に向けた一段の利下げを実施。G20構成国のなかで率先して利上げに踏み切ったオーストラリアでさえ、数回にわたって連続して実施してきた利上げをこのところ停止している。
金融危機の勃発以降、各国の通貨政策は明らかに分化している。この2年、インフレ圧力に対応するために、オーストラリア、ノルウェー、インド、ブラジルなどが相次いで利上げに踏み切る一方で、ロシア、南アフリカ、ハンガリーなどは利下げという通貨手段を選択している。また、米国、EU、英国などの先進国は依然として低金利政策を維持しているのである。
世界を見ると、各国の通貨政策の相違はかなり深刻である。国内を見ても、通貨政策の今後の方向性に対する専門家の見解は一致していない。この相違の背後には、世界の経済情勢の不明瞭かつ不安定で複雑な現実がある。変化の激しい経済情勢により、各国は政策決定の隘路に追い込まれており、金融政策の方向性については各国の政策決定機関の知恵が問われる。
専門家は、最近の通貨政策を見るに、これまでの預金準備率の引き上げにしろ、今回の予想外の利上げにしろ、人民銀行は今後の通貨政策手段を講じる上で先見性と柔軟性により重きを置くと判断できるとしている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年10月21日