銀行6行に対し差別的な預金準備率を実施することを発表したのに続き、中国人民銀行は19日、預金・貸付準備金率を0.25ポイント引き上げるという予想外の発表をした。専門家は、これはインフレ圧力を抑制し、「マイナス金利」状態を逆転させるのがねらいであると同時に、資産価格バブルの抑制に有利となり、中国経済の均衡かつ健全な発展を推し進めると分析する。
突然の利上げ発表 インフレを抑制
利上げはあまりにも突然訪れたが、ほぼすべての専門家は、中国経済はその時を迎え、インフレ観測を抑制し、「マイナス金利」状態を逆転させるのに必要な措置だとしている。
中国商務部が19日に発表したデータによると、国慶節の連休後の1週間、全国36の大中都市で穀物や食用油の小売価格が小幅上昇した。庶民の間で緑豆やニンニク、しょうがの価格高騰を揶揄する「豆你玩」「蒜你狠」「姜你軍」という言葉がよく聞かれるようになったほか、砂糖の価格高騰を表す「糖高宗」という流行語が新たに登場した。国内外資本に押し上げられ、中国の砂糖の価格は過去最高値に達し、上海などの都市では1トン6000元を超えている。1年以上前の価格は1トン2700元だった。
建設銀行上級アナリストの趙慶明氏は、利上げにより預金が増加し、企業や個人の貸付ニーズが減少し、通貨需要の低下やインフレ予期の抑制に有利にはたらくと見ている。これまで人民銀が利上げを急がなかったのは、物価上昇率が年間目標の3%に抑制できると判断したからだ。ところが、近ごろになり野菜や穀物、大口商品など新たな価格上昇要因が集中したことで物価上昇にさらに圧力がかかったため、インフレを懸念し、人民銀は利上げに踏み切った。
「利上げはマイナス金利状態を逆転させるのにプラスとなり、国民の福利への損害を避け、低金利下における富の配分の『マタイ効果』を正す。これは中国共産党第17期中央委員会第5回全体会議の精神とも一致している」と、清華大学ブルッキングズセンターの肖耿主任は話す。