中国人民銀行(中央銀行)が26日発表した報告書「2010年第3四半期中国マクロ経済情勢分析」によると、今後のマクロ経済情勢は、経済成長ペースが鈍化し、資金貸出の伸びが徐々に正常化して物価安定に有利にはたらくとみられるが、穀物価格の上昇、所得分配の一層の改革、資源価格の一層の改革の影響を受けることや、国際市場での大口商品価格の不確定性などにより、物価上昇圧力が軽視できないものになる見込みだという。
同報告書の分析によると、今後の物価上昇圧力は軽視できないものであり、懸念すべき状況として次のようなものが挙げられる。
(1)主要経済体が一定量の通貨緩和策をさらに実施し、国際市場で大口商品の価格が急速に上昇する見込みだ。現在、国際商品先物指数のCRB指数は世界金融危機以前の最高記録を上回っている。
(2)現在の資金貸出環境は引き続き緩やかなものだ。2009年9月から2010年5月までの狭義マネーサプライ(M1)の増加率は9カ月連続で30%前後に達し、これまでの資金貸出の急速な伸びの効果が今後もしばらく続くとみられる。最近は資金貸出の伸びが徐々に正常な状態に戻りつつあり、広義マネーサプライ(M2)の伸びが大幅に鈍化しているが、00-08年の平均値16.3%は大きく上回っている。
(3)来年は穀物価格の大きな上昇圧力がかかる。今年は穀物が豊作になる見込みだが、栽培コストの上昇、工業用穀物ニーズの増加、国際市場での穀物価格の上昇が国内の市場観測筋に与える影響などにより、売り惜しみなどの現象が現れ、穀物価格が引き続き上昇する可能性がある。
(4)所得分配と資源価格改革が来年の物価を押し上げる可能性がある。
「人民網日本語版」2010年10月28日