中国人民銀行は10日夜、公式サイトで預金取扱金融機関の人民元預金準備率を11月16日から0.5ポイント引き上げると発表した。先月の銀行6行に対する差別的な預金準備率の実施を含めると、商業銀行の預金準備率引き上げは今年に入って5回目となる。人民銀は今年1月18日、2月25日、5月10日の3回にわたって預金取扱金融機関の預金準備率を引き上げた。今回の調整後、預金準備率は過去最高の17.5%になる。
人民銀は10月13日に差別的な預金準備率の実施を発表、10月19日に預金・貸出基準金利の引き上げを発表しており、通貨政策の調整は1カ月で3回目となる。アナリストは、人民銀が1カ月でこれほど頻繁に通貨政策を調整しているのは、現在の過剰流動性とインフレ圧力への懸念が高まっていることを示すと分析する。
市場では、先月の利上げ発表後、通貨市場の資金は一時逼迫感があったものの、すぐに過剰状況に戻り、1回の利上げで過剰流動性の状況を根本的に変えることは難しいと見られていた。10月の消費者物価指数(CPI)のデータ発表前の9日という敏感な時期に人民銀は中央銀行手形の金利を引き上げ、市場の政策変動に対する憶測を引き起こすことは避けられない。また、多くの機関がCPIは再び最高を更新し、4%を超える可能性もあるとする中で、今回の預金準備率の引き上げは過剰流動性状況の改善、インフレ予期管理の強化を主な目的としている。
東方証券の閻偉チーフエコノミストは8日、取材に対し「通貨政策ツールは交替で使用されている。外貨準備増加に伴う人民元の放出額が増加し続ける局面で、人民銀はまず預金準備率の調整を実施することとなった。ホットマネーの流入増加が予想される中、過剰流動性を回収するには、預金準備率の引き上げは第一の選択となる。同時に、経済成長の安定維持の傾向が変わらなければ、インフレ率が予想を上回った場合、人民銀は年末または来年初めに再利上げする可能性が非常に高い」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年11月11日