低炭素経済が潮流の中で、新エネルギー自動車は中国の自動車産業にとって、曲がり角で追い抜くターニングポイントのようである。しかし業界や投資家、関係の専門家は、中国の新エネルギー自動車産業の位置付けははっきりせず、生産能力過剰で、電池の自主特許など多くの問題が出現しており、産業バブルを注意深く防がなければならないと考えている。
近ごろ開催された「2010年中国リスク投資と科学技術金融フォーラム」で麦頓投資創業者の邱立平氏は、電気自動車の概念は省エネや低炭素社会からきたもので、消費者の機嫌をとる虚栄心ではないと話し、「中国の新エネルギー自動車の産業化の道が直面する一番の問題は、本当の市場ニーズと位置付けを探すことだ」と語っている。
そして国家ハイテク研究発展計画(863計画)の「省エネと新エネルギー自動車」の重大プロジェクト総合マネージメント諮問専門家グループの王秉剛グループ長は「今後10年あるいはそれより長い期間に、電気自動車がガソリン車に取って代わるというのは現実的ではない。中国の電気自動車の位置付けが比較的低いのはかなり現実的だ」と話す。
新エネルギー自動車の産業能力過剰とバブル化への憂慮は日に日に増している。国内の新エネルギー自動車はまだほとんどが試験段階であり、産業化プロジェクトの進度は初期状態だ。そのため販売台数は極めて少ない。
江淮自動車会社の左延安取締役は「電池が出来たが、この電池のエネルギー密度や効率、安全性など、満足のいく産業化にはまだはるかに遠い」と述べ、国は優秀なリソースを集め、いくつかの企業を重点的にサポートして、少しの生産部門、学校教育部門、科学研究部門が共同で取り組んだほうがいいと指摘する。
レアアースに高く依存するのも、新エネルギー自動車産業の今後の発展への大きな憂慮だ。トヨタのハイブリッド車「プリウス」1台には2キロ前後のレアアースが必要で、新エネルギー自動車はレアアースを消耗する最大の消費品である。ひとたびハイブリッド車と電気自動車が主流になれば、レアアースの需給不足は拡大する。その上、レアアースの資源は有限であり、生産企業は材料不足の窮地に陥る可能性がある。そのため専門家は、出来るだけそれに代わる材料を探し出し、全産業のレアアースへの依頼を減らすよう提案している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年11月12日