インフレと低金利を背景として、中国人の貯蓄習慣に変化が起きつつある。もっとも、これは経済モデルの変化の始まりでしかない。中国の経済誌、第一財経周刊が伝えた。
質素倹約な中国人はこれまで、苦労して稼いだお金を消費と貯蓄に2分割していた。貯蓄に回したお金はすべて中国政府に貸し付けられ、中国政府はそれを用いてインフラ建設を行うとともに、余分な資金は米国債を購入する形で米財務省に又貸ししていた。
こうしたモデルのよくできているところは、人々が少なくとも4%の利回りを得られ、深刻なインフレもなかったことだ。中国政府がお金を得れば、中国経済が高成長を維持し、米国も恩恵にあずかることができる。しかし現在は、この好循環が断ち切られようとしている。
中国人民銀行(中央銀行)が15日、都市部の預金者を対象に実施したアンケート調査によると、「(債券、株式、ファンドなどに)より多く投資する」を選んだ人が45.2%に上った一方、「より多く貯蓄する」とした人は37.6%にとどまり、「より多く消費する」は17.3%となった。「より多く貯蓄」がここ数年で初めて首位の座から転落した。
ここから、中国人の貯蓄習慣が徐々に変化しつつあることがうかがえる。こうした変化が起こっている原因は、ここ2年間の物価高騰にある。お金を銀行に預けるよりかは、消費か投資をする方が割に合うという考え方が一般化してきている。消費者物価指数(CPI)上昇率が4%を超えるとどうなるのか、インフレ率が4.5%の警戒ラインを超えるとどうなるのかは知らなくても、お金の価値が下がって、貯蓄がこれまでほどおいしい話でなくなっており、わずか2%前後の預金利率では物価上昇で相殺されて、結局は利益が手元に残らないことは分かっているのだ。