10月の住民貯蓄額が7千億元(約8兆7千億円)減少し、減少率が過去最高を記録したことも人々が貯蓄に執着しなくなったことを裏付けている。
国の発展は非常に単純なルールに基づいている。そのうちの一つが今日貯蓄すれば明日はもっと豊かになるというもので、環太平洋地域の経済体はほとんどが高い貯蓄率を支えとして投資の成長を牽引(けんいん)する発展モデルに従っている。だが貯蓄習慣の転換に迫られたとき、政府は資本不足という新たな問題に直面することになる。なぜなら、世界で最も貯蓄好きな中国人さえも貯蓄をしなくなったとなれば、投資に用いる資金が減少することは必至だからだ。
こうした選択は一般庶民にとってはどうしようもない。人々は苦労した稼いだお金を目減させるわけにはいかない。一方、政策決定者も、廉価な貯蓄資本がなくなれば、GDP成長の支えとなる投資に用いる資金を失い、板挟みの状況に頭を悩ませることになる。
中国住民にとって貯蓄以外の投資ルートは多くない。CPI上昇から逃げ切れるか分からない状態では、消費を適度に増やして、自らの将来のためにお金を使うのも悪い選択ではない。もちろん、浮き沈みの激しい中国の経済情勢では、個人はやはり変化に対応するための資金を確保しておく必要がある。
「人民網日本語版」2010年12月29日