かつて私は、日本や韓国の今の様子は、中国の未来の姿なのだと固く信じていた。しかし今は、発展途上国が先進国となるということは、一連の正しい選択を行った上での偶然の結果であり、市場経済が自然に向かう方向ではないのだと信じるようになった。
中国のここ30年にわたる発展スピードは誰にも追いつけないほどだ。しかし、もし「竜(中国)と象(インド)の戦い」を好むインド人が中国人との対決で勝ちたければ、ジニ係数で対決すればいい。経済規模、一人当たりGDP、経済成長率、インフラ建設、一人当たり電力消費量、一人当たり鋼消費量など、ほぼ全ての経済指標で、中国はインドをはるかに上回っているが、唯一ジニ係数だけは違う。世界銀行の統計データによると、2009年のインドのジニ係数は0.368だったが、中国は0.47で、中国はインドを0.1も上回った。
世界の注目を集めているチュニジア共和国のジニ係数は0.398、中国と発展モデルが似ているベトナムのジニ係数は0.378、そして、同じくモデルチェンジ中の大国、ロシアのジニ係数は0.375となっている。
世界でジニ係数が中国を大きく上回るのはブラジル、チリ、アルゼンチン、ペルー、南アフリカなどの国だ。これらの国のほとんどが南米に集中しているが、南米の多くの国は、「中所得国のワナ」にはまり、現代化の方向性を見失ったと見られている。