世界規模でみれば、中国は世界の人口の約20%を擁しながら、生み出す富は世界の10分の1に足りない。国内総生産(GDP)の一人当たり平均は世界平均の50%にも及ばない。世界の中位のレベルにもまだこれほどの距離があり、中国は現時点ではまだ発展途上国の特徴をかなりの程度備えていることがわかる。一人当たり平均GDPが世界平均を超えなければ、国民の生活水準は世界の中レベルに達したとはいえない。また中国の経済・社会の発展には明らかな地域格差があり、環境保護や生態建設と経済発展との歩みはバラバラで、所得分配は相当バランスを欠いており、こうしたことはいずれも発展途上国に典型的にみられる特徴だ。
だが中国は他国と異なり規模が巨大であり、とりわけ発展がアンバランスであることから、部分的には目を見張る発展ぶりを示している。たとえばイノベーションの導入により、高速鉄道技術では先進国の中でもとりわけ優れた成果を上げており、米国のイノベーション奨励の手本にさえなっている。だが高速鉄道が発展しても昔からある「春運」(春節(旧正月)期間の列車の特別運行体制)の問題は解決されず、その他の経済社会の問題を迅速に解決することもできずにいる。