『ウォールストリートジャーナル』3月7日付け記事 香港の外為業者はほっとしているだろう。火曜日に行われるアジアビジネス航空展でジェット戦闘機が香港上空を飛ぶことはなくなったのだ。
パリ、ドバイ、そして他の地域の航空展でよく見られる展示飛行やミサイルが登場することはない。これは中国大陸が敏感に反応するのを考慮してのことだろう。現在、世界航空工業界の権力構造には変化が生じている。
中国の目的はビジネス旅客機市場におけるエアバス社とボーイング社の独占的地位を打ち破ることだ。中国は計画中の国産ジェット旅客機「C919」の生産に注力し、また、フランス、ドイツ、アメリカに大量の飛行機を発注している。
4年前、香港はシンガポールよりアジア国際航空展の開催権を奪い取った。香港は軍事的な内容を一切放棄し、航空ビジネスフォーラムを開いた。香港はビジネスこそが香港の強みだと考えたのだ。
シンガポールは競争力のある展示会を始めたが、香港のバックには巨大な力をもつ中国市場がいる。
アジアビジネス航空展に集まった多くのメーカーやサプライヤーには共通の目標がある。小型ターボプロペラ機から850人乗りの大型旅客機まで安全性が高く、高性能な航空機を製造すること、そして、旅客を魅了する航空機設備を製造することだ。
アジアは北米に代わり世界最大のビジネス航空および航空輸送市場となった。他の競争相手が燃料価格上昇により利益維持に躍起になっているのを横目に、アジアはその存在感を示していった。
本部を香港に置くキャセイパシフィック航空の最高経営責任者(CEO)であるトニー・タイラー氏は「アジアの航空会社は成長を特に重視している」と述べた。タイラー氏は月末をもって退任する。
アジアが世界での地位を高めていることはタイラー氏自身が証明している。タイラー氏は香港キャセイパシフィック航空のCEOを退任したあと、国際航空運送協会(IATA)のCEOの職務に就く。この協会は国際線を運行する世界各国の航空会社が加盟する国際的に権威のある団体である。