▽グローバル経済の復興に影響
米国のあるリスク分析会社の算定によると、今回の地震による経済的損失は、145億ドルから346億ドルに上るという。
グローバル産業チェーンにおける日本の重要な地位を踏まえて、ある専門家は、今回の地震は不可避的にグローバル経済の復興プロセスを遅らせることになるとの見方を示す。地震による一時的な輸出の中断が世界市場に影響を与えることは必然だ。たとえば、日本のチップ産業はグローバル市場の5分の1を占め、米アップル社のiPadのような人気電子製品も日本メーカーのNAND型フラッシュメモリに大きく依存している。またボーイング社の旅客機「ボーイング787」(ドリームライナー)の主翼や主脚といった重要部品も日本メーカーが提供している。
自然災害は心理面により多くの直接的な影響を与え、経済の短期的な局面にも変動をもたらす。一連の経済学者や企業関係者によると、世界的な視点からみて、今回の地震がグローバル経済に与える影響は短期的なもので、長期的にみればグローバル経済の復興への影響はそれほど大きくない。このことについて誤った判断をしてはならない。海外の一連の経済学者も、日本の復興再建は世界の貿易構造に一定の振興作用をもたらす可能性があるとの見方を示す。
日本は世界3位の石油輸入国だ。地震で国内の石油精錬設備が破壊されたため、輸入ニーズが減少し、国際市場における原油価格が大幅に下落し、米ニューヨーク市場では原油先物取引価格がこの1週間で初めて1バレルあたり100ドルを割り込んだ。ある市場アナリストによると、日本の地震は原油価格の下落を推進するが、それほど長くは続かないとの見方を示す。
外国為替市場と日本円の動向に対する地震の影響について、あるアナリストは次のように指摘する。企業は復興再建に対応し、保険会社は海外資産を売却して損害賠償の支払いに充てるなどの措置を取り、その結果、資金が日本に流れ込んで、日本円のレートが上昇することが予想される。また日本銀行(中央銀行)は近く通貨政策を一層緩和するとみられ、これも円レートに影響を与えることが予想される。
しばらくは円高圧力がかかるが、1ドル=80円の大台を割ることはないとみられる。ある業界関係者の分析によると、円が持続的に上昇すれば、日銀は再び市場への直接関与策をうち出す可能性があるという。
「人民網日本語版」2011年3月14日