ここ10年、アジアは世界の中で最も経済活力、経済ポテンシャルをもつ地域の一つとなり、世界の経済発展を引っ張る重要な牽引役となった。
とりわけ、ここ数年、世界経済が金融危機により不況に陥る中、アジア経済は成長をキープし、世界経済の回復に重大な貢献を果たした。しかし、無視できないこととしては、アジアの経済成長に不均衡が生じていることだろう。アジア地域内、国家間、各国内の発展はバランス性を欠き、貧富の差は拡大し続けている。これはアジアの持続可能な発展と社会の安定とって深刻な障害となっている。アジアの経済成長モデルはすでに転換期を迎えており、単純な経済成長の追求から、包容的成長、持続可能な発展、社会の繁栄を目指した成長モデルにシフトする必要がある。これはまさにボアオアジアフォーラムの2011年テーマ「包容的発展:共通のアジェンダと新たな試練」である。
いわゆる包容的成長とは共有型成長あるいは「機会の均等な成長」と呼ばれ、一種の新たな成長理念である。経済成長を通し、雇用とその他発展の機会を生みだし、発展の機会を均等化する。経済の高速かつ持続的な成長を維持し、機会の不均等を減少あるいは取り除くことで、社会の公平性と包容的を促進する。経済成長を維持すると同時に、社会と各階層の人々が成長の利益を共有できるようにする。