中国金融学会は北京でこのほど、「人民元の資本取引自由化推進に関する問題」をテーマとした研究会を開いた。研究会に出席した専門家たちは、人民元の資本取引自由化を徐々に実現することは、中国経済の発展に重要な意味をもつとの見解を一致させた。今後数年は資本取引自由化の推進に適した時期である。中国は推進に有利な条件をたくさん有しており、越境資金の異常な流動リスクを防止できるという前提の下、トップレベルデザイン(上層部から始まる総合的構想)を強化、ペースを加速し、徐々に人民元の資本取引自由化を実現しなければならない。
国際通貨基金(IMF)がまとめた「為替制限年報2008」の資本取引の分類標準(計7大分類40項目)によると、昨年末までに、人民元による資本取引件数は計30件、資本取引全体の75%を占めている。専門家は、「人民元の資本取引自由化は大幅に進んでおり、一部では法律の枠組みを越えて開放が進んでいる。例えば、国外の不動産取引において人民元の使用はまだ認められていないが、実際にはすでに存在している」と述べた。
研究会に出席した専門家は、「我が国は資本取引自由化の推進において大きな功績を残しているが、完全な自由化の実現までにはまだ相当な時間がかかる。特に証券投資、個人の投資など重要な分野における開放はまだまだ不十分である」と述べた。
周知の通り、資本取引自由化の利害は可変的なものである。ある専門家は、考え方を変え、市場経済の視点から客観的な分析を行う必要があるとの見方を示している。経済のグローバル化が進む現在、資本取引自由化を推進・実現することは我が国にとって利益のほうが大きく、インフレへの対応、貿易・投資簡便化の促進、経済運営と資源配分効率の向上、世界における発言権の強化、福祉の増進を後押しするという。