JPモルガン・チェース・アジア太平洋地区の龔方雄董事総経理は、北京で行われた「第7回上場企業取締役の円卓会議」に出席した際、「10年内に人民元の対米ドルレートは少なくとも2倍に上昇し、中国経済は10年足らずで米国を超えて世界一の経済国になる可能性がある」との見解を示した。中国の経済規模は現在5兆8000億ドル、米国は14兆ドルだ。
龔方雄氏は仮説を立てながら以下の見方を述べた。中国の国内総生産(GDP)が毎年8%成長すれば、9年後の2020年に中国の経済規模は12兆ドルに達する。米国の現在の経済規模は14兆ドルで、毎年3%成長したとすれば9年後は18兆ドルになり、中国はまだ米国に追いつかない。ところが、向こう9から10年で人民元の対ドルレートは少なくとも2倍に上昇するという非常に現実的な仮説を用いると、中国の経済規模は米国を超える。
人民元の上昇は中国がネックを乗り越えられるかどうか、すなわち向こう10年の発展において、中国にさらに多くの独自知的財産権を有するブランド、技術、資源などがあるかで決まる。これらのネックを乗り越えることができれば、中国経済の持続可能な発展は保証され、中国は2倍以上の元上昇圧力に耐え、経済規模を2倍にし米国に追いつくことができる。
中国が現在もっとも懸念していることは「中所得の罠」だろう。国外では伝統的な産業だが中国にとっては新興産業である金融サービス業、医療サービス業、保健業などは間違いなく急成長し、多くのブランドが生まれ、さらにはこの業界の経済に占める比率の上昇に伴い発展すると考えられる。これらは中国経済が将来モデルチェンジを行うことを示している。モデルチェンジが成功するかは、主に自身のコア・ブランドまたはコア技術を構築・保有できるかにかかっている。これは中国の企業家が今後10年で直面する巨大な試練だ。
近ごろの大陸A株市場の動向はあまり良くないが、これは中国の資本市場の発展が初期段階にあるという問題の一つだ。過去10年で中国の経済規模は5倍になったが、A株の指数は30%しか上昇していない。しかし中国の不動産価格は5倍から8倍に上昇している。これも資本市場の動きが思い通りにならず、投資家が不動産市場に流れた原因だろう。
株式の発行量、流通量、売買解禁はますます増え、発行価格は下がると見られる。全体的に見て、中国の貯蓄率はまだ高すぎる。国内の社会保障体制や医療サービス体制が整えば、国民の現金保有量は減り、ますます多くの資本が株式市場に流れ、上昇をけん引するに違いない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年5月10日