ガイトナー米財務長官は16日、米国の債務が16日の国債発行をもって上限に達することを発表した。中国は現在、1兆2000億ドルの米国債を保有しているが、これに大きなリスクが潜んでいる。専門家は、米国が債務を返済できなくなることはないが、中国の米ドル資産は徐々に蒸発するだろうとの見方を示した。
米国の債務額は14兆2800億ドルであり、この数字は今も増え続けている。米国市場では、国債を手離す投資家が後を絶たない。米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の「債券王」ことビル・グロス氏はこのほど、同社グループのもつ米国債をすべて処分した。米国債の30年間にわたる好況は終焉した。しかし、中国にはまだ1兆2000億ドルの米国債が残っている。アメリカ議会が国債の上限を引き上げない場合、米国債の償還に支障が発生することが懸念されるほか、市場で米国債の売りが相次ぎ、ユーロや大口商品などリスク資産の高騰を引き起こす可能性がある。
中国社会科学院アメリカ研究所戦略研究室の王栄軍主任は、「米国債の収益率が引き上がれば、米ドルは更なる圧力を受ける。元々米ドルは下落していたが、中国が保有する米ドル資産はさらに下落する。また、資産が下落することにより、人民元切り上げの圧力がさらに高まる」と述べた。