林国本
時々、家族連れで旅行に出ているが、かなりの区域は車で高速を利用している。テレビのコメンテーターは、中国の高速道路はもう飽和状態に近い状況にある、と語っていたが、これだけ広い国土のこと、経済のさらなる発展による輸送需要の増加などを考慮に入れると、まだまだ敷設の余地はある、と思う。
私見ではあるが、仕事で日本に長期滞在していた頃には特派員仲間たちとよく日本各地の高速を利用していたが、ハード面から見るならば、中国の高速も一応国際レベルに達したと言える。しかし、いつも感じていることだが、ソフト面ではイマイチの感がある。とくに、サービス・エリアは国際レベルと比べれば格段の差があることは否めない。中国人のライフスタイルとも関係があるかも知れないが、サービス・エリアのレストランなどが完備していないか、利用者の食生活の好みに合わないのか、かなりの利用客は、わざわざ高速を降りて町中のレストランで腹ごしらえをして、また、高速に戻るパターンをとっているようだ。もちろん、町中にはいろいろなタイプのレストランがあり、食生活を重視する中国人にとっては選択肢や楽しみが増えてたいへん結構なことかも知れないが、町中で数時間を過ごすため、道中余計一泊することになりかねない。巷間よく言われている日本人はせっかちな人が多いから、サービス・エリアのレストランで食事を済ませている人が多いが、また、日本のサービス・エリアのレストランの料理が町中のものと比べて劣らないことも、わざわざ高速を降りて食事する必要がない理由かも知れない。
モータリゼーションや省間ツアーの増加によりサービス・エリアのこうしたビジネス・チャンスを掘り起こすことに目を向けてもよいのではないか。利用客にサービス・エリアでニーズを満たしてもらえれば、時間の節約にもなる。昨今、中国では第三次産業に力を入れ出しているが、こうした些細なニーズを掘り起こせば、全国的に見て、どれだけの「景気浮揚効果」があるのか。計算してみてもよいのではないか。ある意味では雇用の増加にもつながるので、一石二鳥の効果があるのではないか。私は何回か高速を降りたために、余計一泊するたびにこういうことを考えている。南方への旅で一軒だけケンタッキーのお店のあるサービス・エリアを目にして子供たちが喜んでいるのを見ると、どうもニーズそのものはあるに違いない。とくに省間長距離バスの運行が増えている昨今のこと、このビジネス・チャンスを利用しない手はないのではないか。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年5月18日