無計画な発展は、地方政府が業績を挙げるために必要だというところに原因の半分以上がある。一部の為政者にとってみれば、都市のサイズや豊かさに関係なく、摩天楼ビルが高々とそびえ立っていさえすれば、その都市は十分に現代化したようにみえ、立派な官僚になって、めざましい業績を上げ、栄光に輝くように感じられるのだ。摩天楼ビルは富と力を示す業績であり、どのような業績よりも視覚に訴える力がある。こうした考え方に基づけば、数百億元の公共投資を行ってランドマークとなる建築物を建設し、高さを競うのも不思議なことではない。

　「虚偽の繁栄」に過ぎない摩天楼ビルの業績を追求すること、摩天楼ビルの高さに惑わされることは、いずれも重大な結果をもたらす。ドイツの経済学者アンドリュー・ローレンスは以前、次のように警告していた。経済の低迷あるいは株式市場の低迷は往々にして超高層ビルの落成前後に起こる。このような投資への熱狂は永遠に続くものではないからだ、と。また不動産開発大手・万科の王石董事長（会長）も以前、高層ビル建設は現実の情況から解離してはならならず、現地の経済発展と歩調を合わせるレベルを超えてもいけない。そうでなければ、高層ビル建設は記念碑にも里程標にもならず、墓標になってしまう可能性がある、と警告した。

　ある国やある都市が豊かかどうか、現代化しているかどうかは、一人当たり平均収入や衣食住・交通が充実して幸福であるかどうかをみなければわからない。為政者は住宅、教育、医療といった国民生活に関わる分野の発展に力を注いで功績を挙げるべきであり、ランドマーク的な建築物や摩天楼ビルが多くなっても役には立たない。納税者の金を使って、摩天楼ビルを建てて都市の外見を飾り、官僚としての業績を飾ることは、抑制されなければならない。「虚偽の繁栄」によって業績を求める考えがなくならなければ、摩天楼建設の勢いは止まらない。摩天楼ブームを押さえようとするなら、まずは「民意の関門」を越えるのがよい。ある人民代表大会の代表がかつて提起したように、摩天楼ビルを建設するにあたっては、人民代表大会の審議と承認を経る必要がある。これはよい考えだといえる。

　「人民網日本語版」2011年6月15日