今年に入って何度も行われている預金準備率の引き上げは、多くの銀行を苦しめている。14日午前に発表された経済データによると、5月の消費者物価指数(CPI)は前年同期比5.5%上昇し、2年10カ月ぶりの高水準となった。また中国人民銀行は同日午後、今月20日から預金準備率を0.5%引き上げると発表した。預金準備率の引き上げは今年に入って6回目となる。これにより、大手金融機関の預金準備率は過去最高の21.5%に達する。
人民銀による預金準備率引き上げの情報が伝わると、市場は騒然となり、資本市場にすぐに反応が現れた。香港ハンセン指数は30分後に230ポイント以上下げた。一方、銀行間為替市場に影響は見られなかった。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)中国経済研究部門の劉利剛総監は、人民銀による今回の預金準備率引き上げは時期的に見て意外で、市場の予想に反するものだと示す。国泰君安の李迅雷チーフエコノミストは15日、「人民銀はこれまで、金曜日の夜か週末、あるいは休暇期間に準備率引き上げを発表することが多かったが、今回は平日の昼間、しかもCPIの発表後すぐの時期を選んだ。これを機に、市場の『金融政策を緩和すべき』という誤ったシグナルを打ち消したい考えが人民銀にあるのだろう」と述べた。