巴氏によると、市場では6月のCPI上昇率が再び過去最高を更新するとの予測が一般的な状況の下で、金利引き上げはインフレ観測の管理に有利であり、インフレ抑制が引き続き当面のマクロ政策の筆頭目標であることを示すシグナルでもあるという。
金利引き上げはマイナス金利状態を修正するのにプラスになる。2010年2月以降、CPIの上昇に伴い、中国経済は持続的なマイナス金利状態に突入し、国民は貯蓄によって資産価値を維持することが難しくなり、資金が相次いで銀行システムから流出し、インフレ圧力がより一層高まるようになった。巴氏によると、6月の最後の一週間に、銀行預金が異常な規模で大幅に上昇していることがわかり、人々を驚かせた。これは銀行が半年ごとに決済を行うからでもあり、また銀行システムの外にある資金が潤沢であり、マイナス金利によって銀行から各種の資産管理商品への資金の流れが加速していることを説明するものでもある。
金利引き上げは公的金利と市場金利との格差を縮小するのにプラスになる。人民銀のこれまでの調整では預金準備率などの数量型ツールを採用することが多く、全体の資金量を引き締めることにより資金の価値上昇が内部発生的に推進され、市場金利の変化に合わせるために金利引き上げも必要になった。
また金利引き上げは中小企業の資金調達難を緩和するのにプラスになる。流動性の総量には余裕があるものの、大企業と中小企業との間で資金分布のアンバランスが生じている。通貨政策の中で主に非価格型の数量型ツールが運用される場合、金融資源の獲得力が強い大企業は限りある貸出金の中からより大きなシェアを獲得し、中小企業の資金獲得の余地を一層狭くすることになる。巴氏によると、金利引き上げにより大企業の資金ニーズが抑制され、一部の貸し出しが市場に回り、中小企業への貸し出しの供給が拡大し、これら企業の資金繰り難が軽減されることになる。こうした点から考えて、金利引き上げは中小企業により有利であり、預金準備率の引き上げは大企業により有利だといえる。
「人民網日本語版」2011年7月7日