世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)はこのほど、中国が提訴した欧州連合(EU)の中国産炭素鋼製ボルトに対する反ダンピング措置案件について最終決定を下し、この貿易紛争で中国が勝訴したことを認定した。同案件は中国がWTOに加盟してからの10年間で、主体的にEUを提訴し、勝訴した初めてのケースとなる。
▽中国企業のためにより公平な待遇を獲得
対外経済貿易大学WTO研究院の李楊博士は17日、「このたびの勝訴は中国のボルト産業の発展はもとより、国際市場の開拓にとっても好材料となるニュースだ」と指摘し、次のように述べた。これはEUが非市場経済国に対して取った反ダンピング措置をWTOが支持しなかった初めてケースであり、この勝訴によってEUは今後、反ダンピング関連の法律を改定することになり、中国企業のEU市場における競争環境が改善されることになるとみられる。またEUは中国の完全な市場経済国としての地位を早急に承認することになり、中国企業はより公平な待遇を獲得することになるとみられる。今回の勝訴を受けて、中国産ボルトは対EU輸出額が一層増加し、欧州市場における地位を固めることが予想される。
米国のAP通信が15日伝えたところによると、WTOの認識では、EU27カ国が中国を単なる輸出元とみなして、輸出企業ごとの具体的なやり方を考慮しないのは不公平だという。WTOは特定の国に対して規定を執行するよう強制することはできないが、WTOルールに継続的に違反する国への貿易制裁を実施する権限を授与することはできる。EUの敗訴は、EUが新たな措置を取って反ダンピング税を引き下げる必要がある可能性を示しており、EUにより深い影響を与えるものとみられる。