バルブ経済崩壊から金融危機までの約20年間、日本人はいつでもサイフのヒモをしっかりと締め、海外旅行に行っても1万から2万円ほどの小さな土産物を買うだけだった。バルブ当時の金を湯水のように使い、世界を飲み込む勢いだった姿はもはやどこにもみられない。その一方で、日本経済が低迷期に入り、各産業・各業界が不景気にあえいでいることから、中国の富豪は今が「買い時」と見定め、次々に日本を訪れて買い物をし、買い物を中心とした日本観光旅行の人気が異常に高まることになった。
こうした動きは懸念を引き起こさざるを得ない。正常な人数の範囲で中国人の富豪が日本などの先進国でする買い物の様子から判断すると、中国では今後、資産の「海外流出」ペースがますます加速するとみられる。原子力発電所の事故による放射能の影響がまだ完全に消え去っていない8月の中国人観光客の消費金額を基準に計算したとしても、今後年間で少なくとも50万人の中国人富豪が消費によって資産を日本に流出させるとみられる。これは国内消費市場から150億ドルの購買力が失われたことに相当する。こうしてみると、中国人富豪が日本などで過度な消費を行い、他国の内需拡大を助けるというのは提唱するに値しないことだ。