スウェーデン王立科学アカデミーは10日、2011年のノーベル経済学賞を米国の経済学者トーマス・サージェント氏とクリストファー・シムズ氏に贈ると発表した。両氏はマクロ経済学分野での研究が評価された。
ノーベル経済学賞選考委員会のパーク・ラッセル委員長は、「受賞者両名の研究の成果は、金利の引き上げや減税が国内総生産(GDP)やインフレにどのような影響を与えるか、中央銀行のインフレ目標がどのような結果を引き起こすかなど、経済政策とマクロ経済の相互関係を解くものである」と述べた。
選考委員会は、「サージェント氏は、構造的マクロ計量経済学を用いて経済政策の長期的な影響を分析する手法を実証した。この手法は政府や企業が、経済観測や政策を調整する際にも応用できる」とコメントした。
シムズ氏は、「ベクトル自己回帰分析」とよばれる計量モデルを開発、経済政策の一時的な変更がマクロ経済に及ぼす影響を分析する手法を確立した。シムズ氏ら研究者はこの手法を用いて中央銀行の利上げが引き起こす影響について実証、利上げ後、インフレ率が低下するまでに通常1年から2年かかるが、経済成長率は短期間で低下し、元の水準に回復するまでには約2年かかることを実証した。