米国は一貫して、対中貿易赤字を口実にし、人民元切上げの圧力を加えている。これに対して、中国商務部の王超副部長はこのほど「中国輸出入商品交易会(広州交易会)」の会場で、「対中貿易赤字の解決のカギは、中国からの輸入制限ではなく、中国への輸出拡大である」と表明した。「人民日報」海外版が報じた。
近年、中国は米国からの輸入拡大に取り組んできた。税関の統計によると、2011年1~9月、中米の貿易高は3259億3000万ドル(約25兆1000億円)にのぼり、前年同期比17.0%増となった。うち、中国の輸入額は902億7000万ドル(約6兆9500億円)にのぼり、前年同期比23.6%増となった。現在、米国は中国の世界第2位の輸出市場、世界第6位の輸入相手国である。中国は米国の世界第3位の輸出市場、世界第1位の輸入相手国である。
◆黒字は中国、利益は米国
中米貿易は事実上、「黒字は中国、利益は米国」となっている。アナリストは、「中国の貿易黒字には不純物が混じっている。例えば、中米貿易のうち加工貿易が最大の比重を占める。中国の利益は加工貿易のみであるが、製品全体の価値を中国の貿易黒字と計算してしまうのだ。また中国における米国の投資企業が、中国の輸出総額と貿易黒字に占める比率も無視できないが、これもまた中国の貿易黒字として計算されている。そのためWTOは、中国の対米貿易黒字は実際の2倍に見積もられているとした」と指摘した。
専門家は、「中国を含むアジア諸国の対米貿易赤字の実情はこうだ。アジア諸国は米国に対して安価な商品を輸出し、それにより得られた米ドルの大部分を米国国債購入等を通じて米国に戻している。米国は戻ってきた通貨にさらに高い利子をつけ、アジア諸国に投じているのだ」と説明した。このようなやり取りを経て、利益の大部分が米国にたどり着く仕組みだ。
人民銀行金融研究所がこのほど発表した「人民元レート形成構造改革の進捗に関する回顧と展望」と題された報告書は、米国は対中自由貿易から実質的なうまみを得ているとまとめた。同報告はモルガン・スタンレーの調査結果を引用し、「中国の対米輸出により、米国の消費者は年間1000億ドルを節約し、米国企業は6000億ドルの利益をあげることができ、スタンダード&プアーズ指数の企業利益総額の10%以上を占める」とした。