WTO加盟に関わった人たちの思い出話では、やはりたいへん苦労をしたらしい。なかには、もしかしたら「オオカミがやってくるようになるのでは」と心配した人もいるらしい。私も中国は数十年来いろいろな困難を乗り越えてきたのだから、大丈夫だろうと思ってはいたが、それでも内心では自動車産業、小売業が「壊滅的打撃」をこうむるのではないか、という懸念がなかったわけではない。特に心配したのは構造改革で転職を余儀なくされた人たちの再就職はどうなるのか、ということだった。しかし、これらすべては私の「杞憂」であった。もちろん、私自身はさいわい転職する必要がなかったので、悩むことはいっさいなかったが、転職を余儀なくされた人たちは楽ではなかったはずだ。
今や、中国の企業が海外に出て行く時代となり、また、新しい課題を抱え込むことになったが、市場原理の導入によりその動きを上手にさばく人材もどんどん育ってきているので、もう「杞憂」は不必要だろうが、世界経済の不確定要素がまだ存在している今日、やはり真剣にさまざまな課題を解決していくことが不可欠であろう。中国の近代化のためにこれからも努力し続けることが必要なのである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年12月12日