オリンピック開幕前になると、いつもさまざまな疑問や批判が出てくるものだ。2012年のロンドンオリンピックも例外ではない。今回は、金銭に絡む問題だ。最近、英国メディアが明らかにしたところによると、ロンドン五輪の予算が大幅に超過し、最終的に240億ポンド(約2兆8775億円)になることが予想されている。これは申請時の予算額のおよそ10倍に当たる。
7年前、ロンドンがオリンピック誘致に成功したときは、2012年のオリンピック及びパラリンピックの予算は23.7億ポンドと想定されていた。英国スカイニュースが3カ月の調査を経て概算したところによると、会場建設と安全対策、管理などの予算が93億ポンドに上り、オリンピックが近くなるにつれ、24億ポンドのドーピング対策、地方からのトーチリレー、オリンピック期間中の地下鉄スタッフに対する高額補助、五輪遺産などの経費が必要になる。しかも、オリンピックスタジアムのために購入した土地が7.66億ポンド、そのほかに英国政府は65億ポンドをロンドンの公共交通改善と拡充のため、インフラ建設に当てており、別に44億ポンドが国家安全情報関係の経費として計上されている。その上、11.31億ポンドのテロ対策費がかかる。しかも、オリンピック期間中、動員される1.2万人の警察が治安に当たるが、人員不足や不測の事態も想定され、さらに多くの警察官を地方から派遣するとなると、そこにも経費が発生するがそれはまだ計上されていない。
他にも、英国各地の地方行政で1140万ポンドが、トーチリレーやその他の五輪関連行事でかかる。地方政府も合計40.7万ポンドを五輪チケットに支払う計算になる。
スカイニュースがサイト上で行った民間調査によれば、「2012年五輪がイギリスに与えるメリットは予想以上か?」という質問に85%が「ノー」と答えている。「私は2012年五輪以降、どのような生活が待っているのか心配している。英国が五輪によってギリシャのようになったら、いわゆる五輪遺産は何の価値もなくなる。」というコメントも寄せられている。
このような憂慮もわからないでもない。1976年のモントリオール五輪は予算の20倍近い24億ドルが使われた。この支出の代価として、五輪後、モントリオール市民はオリンピック特別税という新しい税金を負担することになった。30年かかってやっとそのときの債務を返済したという。また、2004年のアテネ五輪も膨大な予算と予算超過が疑われた。最終的な支出は105億ドルで予算の2倍だったという。そして今、ギリシャは逃れられない債務危機の真っ只中にある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年1月31日