もしも2008年にギリシャのサントリーニ島の断崖絶壁にたたずむホテルから、世界的に有名な夕暮れの光景を眺めようとしたなら、一泊当たり約150ユーロを支払わなければならなかった。人民元に換算すれば1500元だ。ところがもしも今月23日に同じことをしたなら、支払う金額は1199元で済んだ。ギリシャのホテルが値段を下げたからではなく、ユーロの対人民元レートが10年ぶりに1ユーロ=8元の大台を割り込んだからだ。「新京報」が伝えた。
▽ユーロの対人民元相場が急落
ギリシャを導火線として欧州の政治や経済の局面が大きく変化するのにともない、これまでずっと高値を維持してきたユーロにも変化が生じて不安定な状態に陥った。23日のユーロの対人民元レート基準値は1ユーロ=7.9980元(1ユーロで7.998元と交換するということ)で、2002年6月以来の過去最低を記録し、10年ぶりに8元の大台を割り込むことになった。
今年4月からわずか2カ月間で、ユーロの対人民元レートは5%値下がりした。11年全体では7%の値下がりだった。
今年4月以降、市場ではギリシャがユーロ圏を脱退するのではないかとの懸念が再燃し、スペインやイタリアなどの債務や銀行業もますます危機的な状況に陥り、欧州経済の下振れリスクは一層拡大するなどして、ユーロ相場は下落を続けていた。最近の対人民元相場は1ドル=8元をやや上回る水準で推移していた。このほど辞任したギリシャのパパデモス前首相が「ギリシャにはユーロ圏離脱のリスクがある」と発言したことにより、ユーロの下落ペースがふたたび拡大。22日のユーロの対人民元レート基準値は1ユーロ=8.0761元で、翌23日は781ベーシスポイント低下してついに8元の大台を割り込んだ。
▽ユーロはどこまで下がる?
中国外匯(外国為替)投資研究院の譚雅玲院長によると、ユーロの持続的な下落幅には限界があり、この度の下落幅が大きかったのはここ2日の間にこのことが敏感な話題になったためだ。ギリシャの問題は深刻ではあるが、今回はそのダメージが過大評価されたといえる。価格というものはすべて上昇もすれば低下もするもので、下がり続けるということはない。ギリシャがユーロ圏を離脱する確率は80-90%に上がっている。だが中国工商銀行北京支店の外国為替取引担当者の成宇氏によれば、短期的にみるとユーロは引き続き下落する可能性がある。ユーロ圏全体を考えれば、ギリシャを除く一連の主要国、たとえばドイツやフランスは経済が順調であり、ギリシャが本当にユーロ圏を離脱すれば、長期的にみればかえってユーロの好調さもたらすことになるという。
「人民網日本語版」2012年5月24日