次に、消費税増税は低所得家庭に深刻な影響をもたらす。厚生労働省が7月5日に発表した「国民生活基礎調査」によると、2010年の日本の1世帯当たりの平均所得(岩手、宮城、福島3県を除く)は前年比13万2千円減の538万円だった。ピークだった1994年の664万2千円と比べると126万2千円低く、1988年並みのレベルにまで下がった。非正規職員・従業員の増加などが所得減少の原因だという。また、同調査によると、生活が「苦しい」と回答した世帯の割合が全体の61.5%となり、1986年の調査開始以来の最高記録となった。
大和総研の試算では、消費税の引き上げにより年収300万円の世帯で可処分所得が24万9600円減るとされている。どんなに切り詰めても月2-3万の出費増となり、低所得世帯にとって少ない額ではない。
さらに、消費税の引き上げは中小企業にとっても大きな打撃となる。大企業の下請けを行う中小企業は、大企業からのコスト削減圧力を受けてもともと利益が少ない。消費税引き上げにより原材料価格が3-5%上昇するだけでも、中小企業にとっては大きな数字だ。
大田工業連合会の舟久保利明会長は、「東電による電気料金引き上げで中小企業はすでに重い負担を背負っている。消費税の引き上げは経営コストの高まりを招き、中小企業は二重の重荷を背負うことになる」と指摘する。弱者である中小企業をいかに守るかは、日本政府が解決すべき難題だ。
「人民網日本語版」2012年8月20日