林国本
今年の7月21日、北京は61年ぶりといわれる豪雨に見舞われた。実はその前日のニュースの後の天気予報ですでに翌日には豪雨が降ることを伝えていたが、ここ数十年、私の住んでいる地域では被害らしい被害もなかったので、「不感症」に近い状況になっていた。ところが、東京の日本人友人から国際電話があり、日本のテレビで北京の集中豪雨について報じているが大丈夫かと言ってきたので、さっそくテレビのスイッチを入れると、北京の南西郊外の山間部で土砂崩れがあり、南東部など一部高速道路も排水施設の問題で、冠水状態にある映像がオン・エアされていた。そうこうしているうちに、地方にいる知人からも同じような電話があり、北京に住んでいる人間としてみっともなかったが、これだけ広い北京のことだから、すべてを知ることは不可能だが、とにかく今回の61年ぶりの集中豪雨の被害で、救出活動に献身して殉職した人たちを含めて、79人の人たちが亡くなったのは悲しむべきことであり、この人たちのご冥福を祈るものである。
北京市側がただちに消防隊、レスキュー隊を出動させて、救援、復旧に取り組んだことは、市民の1人として評価したい。特に鉄道部門がただちに山間部に残っている旅行者を無料で市内に移したことは、大いに評価すべきである。日本の雑誌で「天災は忘れた頃に来る」という表現をよく目にするが、北京で数十年も暮らしていてこんなことは初めてだが、それでも、教訓として言えるのは、近代化をどんどん進めるのもすばらしいが、やはり、「危機管理」を忘れてはならないことだ。