日本の経済構造と産業構造がモデル転換期に目立った変化を遂げたことがわかる。経済構造をみると、消費の伸びはやや鈍化したが、国内総生産(GDP)に占める割合は徐々に上昇した。固定資産投資はふるわなくなり、各種の投資の伸びが目立って低下するとともに、GDPに占める固定資産投資の割合は年を追って低下した。産業構造をみると、サービス業を中心とする第三次産業がGDPに占める割合は上昇し、製造業を中心とする第二次産業の割合は低下した。また製造業を詳しくみると、鉄鋼、化学工業といった労働・資源集約型の従来型工業の割合が徐々に低下した一方、電気機械、汎用機械、精密機器などの技術集約型の新興工業の割合が徐々に上昇して、産業構造の最適化やグレードアップを促した。
経済成長モデルの転換は、必然的に産業や企業の営利能力の変化をもたらし、資本市場で企業の株式に影響を与えるものとなる。日本経済のモデル転換期の株式市場の動きにより、産業のモデル転換の方向性に合致した新興産業や消費サービス産業で多くの高収益を上げる強気銘柄が生まれ、鉄鋼や化学工業などの従来型製造業は市場で負けることを余儀なくされた。