前世界銀行副総裁、北京大学教授の林毅夫氏はこのほど、主旨演説を行い、中国経済は世界経済が長期低迷する中で「一人勝ち」するとの見解を示した。
林毅夫氏によると、中国の経済成長率は6四半期続けて縮小し8%を割り、世界では「中国架空論」や「中国崩壊論」もささやかれている。中国経済の成長鈍化は、欧米の景気回復力不足による外需減少、2008年に始まったインフラ建設プロジェクトが最終段階に入ったことによる投資の伸び鈍化の2つが影響したためだ。しかし、中国政府は多くの効果的な措置を用意しており、向こう3~5年8%の成長率を維持することは可能である。
中国は中レベルの先進経済圏であり、産業グレードアップの余地は非常に大きい。大都市のインフラは多くの改善余地があり、都市化、環境、社会保障などの事業の投資収益率はいずれも高い。また、良好な財政状況は政府の景気安定化政策に有利にはたらき、そのうえ高い貯蓄率と3兆米ドルの外貨準備高はマクロ調整と積極的金融政策に十分な資源と良好な環境を与えた。
国務院が認可したインフラ建設への投資額は1兆元に上り、着工すれば中国経済は第4四半期に安定した回復となる見通し。発展途上国が技術イノベーションと産業グレードアップの後発優位性を効果的に生かすことができれば、経済成長率は先進国の2~3倍になる。潜在力を十分に引き出せた場合、1人あたりの総国民所得(GNI)を2030年に米国の50%に高めることも可能である。中国の人口は米国の4倍以上で、そのときには中国の市場規模は米国の2倍に拡大する。しかし、技術イノベーションと産業グレードアップに有利となる制度ができることが前提である。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年9月24日