日本政府の投資は少なくないが、先進国のインフラはすでに完備されており、インフラ投資をすると必然的に効率が低くなる。財務省の資料によれば、2002年度予算のうち、公共事業総額の割合は17.7%だった。地方財政支出に占める公共投資の割合はもっと高く、34.6%に達した。これらを合計すると、公共投資面の支出は33兆円に達し、財政支出全体の27.8%に達する。他の先進国と比べ、日本の公共投資は固定資本形成において大きな役割を担っている。しかし、日本政府は比較的清廉であるとはいえ、制度的な「穴」が存在するため多くの資金が浪費されている。例えば1998年の道路投資額は約15兆円だったが、そのうち固定資本を形成したのはわずか40%で、4-5兆円が浪費された(「日本経済新聞」2000年9月17日)。
日本企業の全要素生産性(TFP)は下がりつつある。一橋大学教授、日本経済研究センター研究員の深尾京司氏は2006年のシンポジウムにおいて、「推算によると、TFP上昇率は1970-80年代に1.5%に達していたが、90年代には0.25%に下がった。80年代の水準に戻すことができればTFP上昇率も高まる」と指摘している。
同研究センターによると、日本の「失われた20年間」の1人あたり実質GDP成長率を分析した結果、日本人の1人あたり労働時間は短くなり、労働の質や資本労働比率の上昇もなくなり、全要素生産性(TFP)も下がったという。対照的に、米国はTFPの上昇が非常に顕著だ。労働時間に対するGDPの成長、すなわち労働生産性の上昇率は、90年代以降、日米でほとんど同じ水準となっているが、その上昇を生み出す原動力は、米国がTFPの上昇であるのに対し、日本は資本蓄積となっている。この間、日本の大企業のTFPは上昇したが中小企業は下がった。ここ数年、パナソニックやソニーなどの大企業がボトルネックにはまり、日本はさらなる危機を迎えている。これは通貨発行で解決できる問題ではなく、むしろ通貨の氾濫により生産能力過剰、大企業のイノベーション能力欠乏が招かれる。大企業が潰せないほど大きくなり、最低価格で資金を得られるようになれば、制度全体の効率が下がるのは必然だ。