二つ目は大幅な支出の増加が必要だとする見方だ。特に教育、医療・衛生、老後の保障などへの支出の増加に、国民は大きな期待を寄せている。中国全体の経済力が強まるのにともない、とりわけ世界2位の経済体に成長したことにともない、こうした支出への要求がますます高まってきた。政府は大変な努力をし、これらの支出は長年にわたり毎年約30%のペースで増加してきたが、それでも社会の期待には追いついていない。国民が社会福祉に寄せる期待は徐々に先進国並みになっている。
三つ目は赤字と債務を厳格にコントロールする必要があるとの見方だ。2008年に再び積極的な財政政策をうち出して以来、中国の財政赤字と債務規模は飛躍的に増大し、特に地方政府の債務が猛烈な勢いで増加した。都市化に後押しされて地方政府の資金調達ニーズがますます高まり、債務による資金調達は増えるばかりで一向に減ることがなかった。社会各界は政府の赤字リスクや赤字によってもたらされた債務リスクへの懸念をますます強めている。全体としてみると、中国の赤字リスクと債務リスクはコントロール可能な範囲にあるが、社会の懸念は消えない。欧州債務危機が引き起こした国の破産リスクが、財政リスクに対する国民の関心を一層高めている。地方政府の債務を解消し、国の財政リスクをコントロールすることが必要だという声がどんどん大きくなっている。