金融危機後の移転
2008年の金融危機により、中国の各製造企業(特に労働力密集型のローエンド製造業)は不安定な情勢に直面した。この状況下、多くの企業はコストがより割安な地域への移転を迫られた。
中国大陸部と比べ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア等の東南アジア諸国は人件費が安く、水道・電気料金や原材料などのコストも割安だ。コスト面で強みを持つため、ベトナム等の東南アジア諸国に投資を行うのは、労働密集型企業が中心だ。移転後の産業構造もまた、すでにベトナムで形成されている。ベトナム南部は靴・紡績業が中心で、北部は電子産業が中心だ。
労働密集型企業以外の移転も多い。反ダンピング関税のリスク回避が、もう一つの重要な目的だ。中国経済の発展に伴い、一部の貿易会社は欧米の反ダンピング関税に直面することを懸念している。事前にベトナム等の経済発展が遅れた地域に移転し、反ダンピング関税のリスク回避につなげているのだ。
低コストVS低効率