現在呼び声が高いのは、武藤敏郎氏と岩田一政氏だ。両氏は日銀副総裁を歴任しており、積極的な金融緩和策を主張している。武藤氏は財務事務次官を歴任し、2008年には野党のボイコットを受け総裁に就任できなかった。武藤氏はその後、シンクタンクの大和総研の理事長に就任した。武藤氏のキャリア・経験・能力・学識・政界の人脈といった総合能力はトップと言えるが、二つの弱点を持つ。一つ目は、民主党が2008年に武藤氏の日銀総裁就任に反対したことを間違いだったと認める必要がある点だ。二つ目は、武藤氏の金融緩和面の発言は、岩田氏らよりも過激ではない点だ。一方の岩田氏は内閣府OBだが、官僚としてのイメージは薄く、金融政策面でより大胆な立場を示している。岩田氏にも二つの弱点がある。一つ目は温和な性格で、強引な政府の傀儡になりやすい点だ。二つ目は強い力を持つ日銀をコントロールできるかが不明な点だ。
日本メディアの報道によると、安倍首相は自らの「お友達」、つまり岩田規久男氏に好意を寄せている。しかし麻生氏にとっては、財務省の元老、日銀副総裁の経歴を持ち、英語のレベルが高い武藤氏が最適な人選だ。日銀総裁人事は、安倍首相と麻生氏の駆け引きによって決まるだろう。
「人民網日本語版」2013年2月7日