林国本
中国の穀倉のひとつといわれる黒竜江省は連年食糧作物の増収を続けてきたが、今年の春は雪解けの水などにより、農地の3分の1が水浸しとなり、3分の1の耕地の春の農作業に響いているらしい。
地元では数多くのポンプを使って排水に努め、農作業のスムーズな展開を目指している。また、理想どおりにいかない場合は、他の作物に切り換えて損失を最小限にとどめることにしている。
ちなみに、黒竜江省の食糧生産は中国全体の一割を占めるといわれているので、これが確保できれば、今年の10年連続増収も実現できるので、地元の主管部門は全力を上げて目標達成に力を入れているようだ。
この一時的な曲折の教訓を汲み取るとすれば、やはり農業の基盤整備にさらに力を入れればならないということだろう。中国の経済力や黒竜江省の経済力から見れば、排水施設などの補強、建設はそれほど難しいことではない。黒竜江省の優位を生かして、モデル農場、モデル農業区をつくれば、天候の制約を最小限にすることも不可能ではないと思う。
中国は耕地が相対的に少ない国であるので、その中でこれまで食糧の自給を達成できたことは、世界でも評価されている。しかし、工業化、都市化が進む中で、余裕をもってそれをサポートするためには、食糧の安全を確保する必要がある。全国のいくつかの穀倉地帯の多くが不作に見舞われる確率は低いが、10年連続の増収を確保するには、農業への注力をおろそかにできない。
工業化の前進により、先進的な農業機械もどんどん開発され、スプリンクラー灌漑などの設備も次々と先進的なものがつくられており、農業の近代化は着々と実現しつつある。農業科学技術の進歩もめざましく、第三世界諸国に次々と専門家を派遣しており、また、第三世界諸国から農業研修生を多数受け入れている。中国の現在の総合国力では農業の近代化は難事ではない。今回の黒竜江省での一時的曲折は上手に解決すれば、一大前進のキッカケとなると見てよい。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年4月22日