第一に内容が貧弱だ。最も具体的な対策は日本版「国立衛生研究所」(NIH))の創設で、現在は文部科学省が管理する基礎研究、厚生労働省が管理する臨床研究、経済産業省が管理する産業育成という具合に分散しているものを内閣官房が設立した国立衛生研究所に集中させるという。狙いは誘導多能性幹細胞(iPS細胞)の研究成果の実用化を加速させることにある。このプランは目新しいものだが、実現には大きな困難がつきまとう。
第二に新味に乏しい。同会議は関連規定を緩和し、東京、大阪、名古屋の三大都市圏に国家戦略特区を建設し、「世界一ビジネスがしやすい環境」にするとしている。これは民主党政権が2010年6月に制定した「新経済成長戦略」を踏襲したものに過ぎない。