過去数年間、政治的な要因が両国の経済協力を妨げる障害となったことはない。数年前は、中国は日本最大の貿易相手国で、貿易額は年々過去最高を更新していた。こうした複雑で深い経済関係のもと、「釣魚島海域で軍事衝突が起こることはあっても、戦争に発展することは絶対にない」との推測も説得力を帯びてくる。
現在、日本車の中国での生産台数は400万台を超えている。この数字は年間数百億元の税収と数十万人の雇用を意味する。もし事態が収拾不可能な状況に陥り、日本企業が中国から撤退したとすれば、それは両国にとって致命的な痛手となる。
■中国市場は手放せない
中国の日系企業で政治問題のあおりを受けるのは、自動車業界だけではない。近年、日本経済の「稼ぎ頭」となっているソニーやパナソニック、シャープなど家電大手も軒並み巨額の赤字を計上し、空前の苦境に立たされている。こうした中、中国市場で利益を挙げることができなければ、これら日本企業は倒産の危機に直面する可能性がある。
自動車業界の状況はなお楽観視できるが、「中国市場を取れば天下を取れる」という傾向はすでに火を見るより明らかだ。これまで国産化をしぶってきた日系高級ブランドも今はドイツ車に大きく水をあけられ、爆発的成長を見せる中国高級車市場の好機を逸している。現在、インフィニティ、アキュラの国産化発表には、日本車が問題の深刻さを意識しつつあることを物語っている。
まもなく行われるホンダの説明会では、中国市場向けに設計したパワートレーンが3型発表されるとして注目を集めている。日本の自動車企業が中国市場向けにパワートレーンを開発したのは初めて。さらにホンダが中国向けに開発した新車種「凌派(クライダー)」もほぼ同時期に発売される。こうした動きはいずれも中国市場を重視する日本企業の姿勢を示している。
中国ではすでに、日本車は耐久性に優れサービスが良いというイメージが出来上がっている。北京・上海・広州などの大都市では初めての自動車購入から2台目、3台目の購入へと成熟した理性的な段階に入りつつある中、こうしたイメージは今後の販売に大きな追い風となる。あるディーラーグループの幹部は「この2年間は傘下の日系ディーラーは業績が低迷していたが、今後は成長の見込みが十分にある」と話す。
釣魚島問題が市場に与えた影響は尾を引くことなく、日本の自動車大手は今年に入り販売台数をすでに回復しつつある。
「人民網日本語版」2013年6月9日