現状:移民の最大誘因は子女教育
投資移民とは、一定の資産を持ち、なおかつ諸条件に符合した投資家が、ある国家の公認するファンドや適切な商業プロジェクトに投資した場合、その国の公民待遇が付与される制度のことである。
一般的に投資移民は、言語面の条件はなく、あるのは財産の金額や財産の取得方法に対する条件だけである。「2011年中国個人資産報告」によると、中国の億万長者は国内不動産へ投資熱に冷めてきている。逆に投資移民の意向は強くなっており、国外不動産への投資は20%上昇している。投資移民の資金は数百万元から数千万元までさまざまだが、投資移民する人で最も多いのが1970年代生まれである。なぜなら投資移民の最大誘因は子女教育にあるからである。
移民者の年齢からは判別しにくいが、これらの移民は必ずしも移民し、その国家に居住するわけではない。中国に留まって自分の事業を続け、国外に買った家に妻子を住ませる方法を採るのが一般的だ。または国外に投資したり、海外支社を開設したりする。これを富裕層の「二都生活」という。
投資移民によって移動するのは金だけではない
近年、中国の金持エリートが大量に移民している。データによると、2007年にアメリカへの投資移民を申請したのはわずか270名。そのうち161名が受理された。2011年になると、申請者は10倍に増加、その過半が受理された。調査によると、1億元以上の資産を持つ中国の富豪のうち、アメリカへの移民を考えている人が40%を占める。カナダは37%、シンガポールは14%、ヨーロッパが11%だった。アメリカ移民サービス局が先ごろ発表した最新データによると、今年のアメリカ投資移民の4分の3を中国人が占めている。
金持ちが増えれば、海外へ流れる人材やお金も増えていく。この3年で少なくとも170億元の資金と何万人のエリート人材が国外へ流出した。
遼寧大学人口研究所の秦嶺教授は言う。「移民できる人は、能力のある人である。海外では能力のある人が求められる。しかし我々中国はそれ以上に彼らを必要としている。投資移民で流出した資金は稼いで取り返すことができるが、人材を取り戻すのは困難だ。この数年の中国経済の発展は目覚ましく、帰国して創業する留学生を引き付けてきた。帰国した留学生たちは、中国の創業力を確実に高めてきたし、国内外を行き来する活発さが、人材流動の新しい特徴となってきた。しかし流出していく人材は基本的にすべてエリートであり、戻ってくるのは玉石混交の人材である。学んで帰国する留学生の絶対数は増加しているが、優秀な人材の数は明らかに減少している」。
いま中国は、いかに人材を引き留めるかが大きな課題となっている。秦嶺教授は「お金を引き留めたかったら、まず人を引き留めるべきだ。人を引き留めたかったら、心を引き留めるべきだ。心を引き留めることができないと、富裕層を引き留められない。彼らを引き留められなければ、お金も引き留められない。我々は市場経済をさらに完備させなければならない。資源獲得をさらに公平なものとし、引き続き企業家精神を保持させていかなければならない」との見解を示す。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年7月28日