アップルの製品も「アメリカのイノベーション+日本の技術」の結晶だと言える。iPhone 5を例にとってみよう。かつてアメリカのFomalhaut Techno Solutions社がiPhone 5を顕微鏡で分析したことがある。その結果、半分以上の部品が日本からのものだった。京セラ、東芝、村田製作所、AKM旭化成、エルピーダメモリなどは、アップルにとって重要な部品メーカーであり、1000個の部品のうち、村田製作所が400個以上を供給している。そのコストは、生産コスト全ての4割に上る。多くの部品が日本だけで製造が可能であり、それがなければiPhoneのカメラを動かすこともできない。
言い換えると、多くの日本の部品メーカーからの供給なしでは、アップルがどれだけ革新的な製品を考えたとしても製品化は困難なのである。それと比べて中国は、生産チェーンのなかで組立だけを引き受けているに過ぎない。チェーンの上流にいる日本との距離ははるかに遠い。中国は製造大国であるというより組立大国であるといったほうが正確な表現なのではないか。もちろん製造業強国などと言うことはできない。
モデルチェンジし始めた日本の電子産業
日本の電子産業は現在、前にも後ろにも敵がいる状態にある。1980年代から天下無敵だった彼らの時代は終わりに近づいている。その背景には、劇的な環境変化と関係があるが、それ以上に日本の電子産業自身の戦略的決断の誤りが大きい。その失策は詳細に分析される価値がある。とはいえ、長年にわたって蓄積された経験と技術があれば、日本の電子産業には復活する可能性がまだまだある。だから「衰退」というには時期尚早である。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年8月24日