安倍首相がためらっているのは、彼がアベノミクスの脆さを知っているからだ。日本経済はやや回復したが、今年第2四半期のデータは予想されていたほど改善されなかった。第1四半期の4.1%という成長率と比べ、第2四半期は2.6%のみとなった。市場はこの数値に落胆している。この成長は震災復興の特需、大規模な財政支出と「異次元の金融政策」が効果をもたらし実現されたものだからだ。このような金融・財政政策の刺激を受けながらも、日本の経済成長は予想されていた目標を実現できなかった。しかも日本企業の投資も、ネガティブな局面を打破していない。
しかし消費税を引き上げなければ、関連する法的手続きの面で時間と労力を浪費することになり、さらに市場に対してアベノミクスが結局は日本経済を回復させられないというシグナルを送ることになる。これは安倍首相が望まないことだ。安倍首相は多くの選択肢が存在しない状況の中、消費税を引き上げた場合は一連の措置(企業に対する法人税の減税などの政策)により、現在の経済発展の流れを固めるという情報を流している。しかし日本ではすでに、消費増税と同時に法人税を減税すれば、国民の利益を犠牲にし大企業を助成することになり、この不公平な政策を国民が歓迎するわけがないと指摘されている。さらに重要な事に、多くの日本企業の業績が低迷しており、7割弱の企業が法人税を納税しない中、法人税減税がどれほどの力を発揮できるかは未知数だ。