1980年代の農業・農村改革と経済体制の改革、「社会主義市場経済」を打ち出した1992年のトウ小平氏の南巡講話、2001年の世界貿易機関(WTO)加盟に続き、中国は今、新たな改革・開放に向けてまい進する絶好の機会を迎えている。11月に開催予定の中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議を前に、行政体制の改革、金融体制の改革、投融資体制の改革、財政・税務体制の改革などに向けた具体的な政策は既に打ち出されており、特に注目すべきである。6日付中国証券報が伝えた。
一、行政体制の改革の重点は政府機構を簡素化し、権限を地方行政部門や下級機関等に委譲することである。行政の体制改革にあたり、中国(上海)自由貿易試験区では試行政策が先行して実施されている。同区では、外資 中外合資 中外提携企業の設立及び変更の申請などに関する従来の一部法律 法規の適用が一時中断されている。この取り組みは行政審査制度における重要なイノベーションとブレークスルーであるだけでなく、市場役割の強化と政府機構の簡素化及び権限委譲を象徴するものである。
二、金融体制の改革の要は資金などの要素価格の市場化を推進することである。前述した3大改革の過程で、中国の商品市場では市場化された価格決定メカニズムが概ね確立されている。改革の重点と難題は金利の市場化を推し進めることであり、これは同時に金融体制の改革の要でもある。
上海自由貿易試験区の核心は貿易ではなく、金融改革である。金融市場への参入に関する政策を見ると、上海自由貿易試験区では今後、条件を満たす外資系金融機関による外資系銀行の設立が許可され、民間資本と外資系金融機関が共同で中外合資の銀行を設立することが許可され、区内の条件を満たす中国資本の銀行が人民元のオフショア業務を取り扱うことが許可される見通しであり、資本項目における人民元兌換自由化及び金利の市場化などがいち早く実現することが期待できる。
三、財政・税務体制の改革の方向性は権限を下級機関に委譲することではなく、上級機関に権限を戻すことである。営業税から増値税(付加価値税)課税への移行は目下、最も肝心な改革であり、二つの重要構造の調整に関わるものである。一つは産業構造の調整で、課税の移行はサービス業の発展促進にプラスに働く。もう一つは中央と地方の財政収支の構造調整である。現在の試行段階において、課税の移行の試行範囲はいずれも地方に止まっており、中央と地方の税収の比率には未だ根本的な変化が見られない。しかし、課税の移行試験の全国範囲への拡大が推進されれば、中央と地方の財政収支構造の調整が必要となる。