■歳出拡大の内在的動力と社会的圧力
日本の財政と政府債務の増加は極めて固定性が強い。これには互いに関連する2つの動力がある。1つは「鉄のトライアングル」政策決定メカニズム、もう1つは社会的圧力だ。「鉄のトライアングル」とは政治家、官僚、産業界で構成される相互依存、相互利用の利益チェーンで、予算を含む各種政策決定を左右している。「鉄のトライアングル」政策決定メカニズムの下、財政拡大政策は容易に了承される。そうすればみな良い「生活」ができるからだ。「鉄のトライアングル」メカニズムは日本の財政が拡大しやすく、縮小が難しく、政府債務が膨れ上がり続ける重要な根本的原因だ。
歳出拡大の社会的圧力は、政府に対する「準公共サービス」増加要求に由来する。医療、介護、年金、住宅政策など「準公共サービス」は外交、国防、国会、司法といった「純公共サービス」と異なり、意味が幅広く、外延が曖昧で、サービスを受益(または消費)するのは特定の企業、家庭、または個人だ。経済的観点のみから見ると、こうしたサービスを市場を通じて提供することに根本的な障害はない。だが日本政府は相当大きな程度において、これらを公共サービスと位置づけている。