ブラジルやインドは現在、米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和を縮小するとの観測による打撃にいかに対処するかという試練を共有している。今年6月に米国が量的緩和縮小のタイムテーブルを発表して以来、こうした新興国は大規模な資本流出に直面。資本流出は株価暴落、通貨下落、対外債務悪化という悪循環ももたらした。適切に対処しなければ、為替危機が発生する可能性が高い。
資本流出を抑制するため、ブラジルなどの中央銀行は自国通貨下落の抑制に努力している。現在選択できる手法は(1)中央銀行が外国為替市場で米ドルを売り、自国通貨を買うことで為替相場の安定を維持する(2)利上げにより国内金融市場の国際資本に対する吸引力を高める--の2つしかない。残念なことに外国為替市場への介入は外貨準備高の縮小を招くので、持続は困難だ。経済成長がすでに減速している中、利上げは経済成長をさらに抑制する。いずれの手法もコストや副作用を伴うのだ。