ロレックスとカルティエも中国で課題に直面している。藤森氏によると、過去15カ月の間に高級腕時計が大打撃を受けた。その一方でティソなどの中級腕時計が新たな勢力として躍進している。これは裕福な消費者が突然、名作腕時計を買えなくなったということではなく、北京でスタートした反腐敗行動が原因だという。
米国やその他の国と異なり、ぜいたく品ブランドは中国でもう一つの問題に直面している。それは中国の女性はファッション雑誌の編集者のアドバイス通りに動くとは限らないことだ。ファッションリーダーの役割は、中国の女性タレントやモデルたちが担っている。
中国では電子商取引(eコマース)が発展しつつあるが、インターネットで高額の商品を買うことは、消費者にまだ広く受け入れられていない。藤森氏はその原因として次の3点を挙げる。ネットショッピングでは本物かどうかが心配なこと、ぜいたく品を買うという体験を望んでいること、海外で購入すれば価格が安いこと、だ。中国人消費者の新たな選択がぜいたく品ブランドの売り上げをさらに困難なものにしているというなら、そのメリットとして売り上げ全体が増加することが挙げられる。100万ドル以上の資産をもつ世界の富豪のうち、4分の1近くが中国にいる。クレディ・スイスの報告によれば、この割合は2073年には47%に上昇するという。
急速に拡大する中国市場では、ブランド品がどのように変化するか予測することは難しい。だが確実なことは、欧州のファッションメーカーやその他のぜいたく品サプライヤーが未来の計画を立てる際には、頭のどこかに中国の富裕層のことを入れて置かなくてはならないということだ。(編集KS)
「人民網日本語版」2013年11月14日