日本労働組合総連合会は、資本家側の利益を代表する日本経済団体連合会(経団連)に、次年度の毎月の基本給を1%改善するよう求めている。企業別・業界別に見ていくと、トヨタ自動車労働組合は毎月4000円の、パナソニックグループ労働組合は3500円の、新日鉄住金などの製鉄・造船業の労働組合は3500円の増給を求めている。労働組合側が基本給の改善を求めるのは5年ぶりで、経団連も労使交渉方針の中で増給に同意している。しかし経営が好転した企業であっても、大部分の利益を社員に還元することを望んでいない。財務省の統計データによると、2013年3月時点で、日本企業の内部に留保されている利益額は304兆円の過去最高額に達した。企業が増給を避けるのは、設備投資拡大を検討しており、また未来の経済情勢の急激な変化を懸念しているためだ。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの尾畠未輝研究員は、「円安は現時点で、自動車や大型設備などの輸出業界にしかメリットをもたらしておらず、増給に応じられるのは一部の大企業のみだ。業績がまだ完全に回復していない企業にとって、増給はむしろ雇用削減を招き、雇用に影響を及ぼす可能性がある」と指摘した。