中国国務院の李克強総理(中国共産党中央政治局常務委員)は10日、中国科学院第17回院士大会と中国工程院第12回院士大会に向けた経済情勢報告を行った。
李克強総理はこの中で、情勢の正確な認識は基本的な国情に立脚したものでなければならないと指摘した。中国は依然として最大の発展途上国であり、これからも長期にわたって社会主義の初期段階にとどまる。そのため発展が今後も第一の任務となり、党と国家の各事業を推進するための重要な土台となる。13億人からなる大国の近代化実現は、人類史上で例がなく、長期的で厳しい努力が必要だ。国際競争の激化や資源環境の制約などの様々な課題に直面しながらも、幅広い国民の勤労と知恵、より良い生活への願い、成長しつつある巨大な内需市場、「新四化」(新型の工業化・情報化・都市化・農業近代化)プロセスのさらなる推進は、中国経済の発展に巨大な潜在力と操作のスペースとを提供している。中国には、過去30年の急速成長を土台とし、「中所得の罠」を乗り越え、比較的長期的な中高速の成長を維持する、十分な条件と能力がある。
李克強総理はまた、経済の中高速成長の維持には、中高級水準への発展を推進し、経済の質や効率の向上、グレードアップを実現する必要があると強調した。そのためのカギとなるのが革新に基づく推進であり、科学技術の革新と体制の革新とが相互に融合し、相互に刺激する状況を作り出す必要がある。科学技術革新の戦略配置を合理的に確定しなければならない。世界の技術の先端に照準を合わせ、基礎研究と応用研究の双方に力を入れ、積極的に取り組み、独創的な突破を実現し、キー技術や核心技術を把握する必要がある。科学技術成果の現実的な生産力への転化を促進し、中国の産業を世界の競争の新たな戦略的位置にまで高め、新興業態の誕生や拡大を促し、新たな市場ニーズを開拓し、限りない創意を通じて限りある資源をさらに豊かな革新成果へと転換し、幅広い国民に幸福をもたらさなければならない。体制革新によって科学技術の革新の効率を高め、体制や制度によるさまざまな障害を突破し、革新資源の配置を市場によって決定させなければならない。財政支援を今後も強化し、さらに多くの企業と社会資本に研究開発投資の拡大を促し、既存資産の活性化を促し、資金使用効率の向上をはかる必要がある。株主権によるインセンティブや研究成果の処理権・収益権改革など革新を奨励する政策や制度をさらに広く普及させ、開かれた協力を通じてさらに多くの革新資源を集め、さらに多くの創造力を集めなければならない。