円安の影響で生産コストが削減される中、世界最大のパソコンメーカー・レノボは近日、一部上位機種の生産を日本に移管すると発表した。中国製造業の日本への移管は稀なケースだ。中華工商時報が伝えた。
報道によると、レノボは2015年からNECと設立した合弁会社の拠点で「レノボ」ブランドのパソコンを生産する。NECとの合弁契約を26年まで10年延長することも7日発表しており、今後日本市場での基盤固めを進める。
レノボはIBMx86サーバー事業を買収し、世界第3位のx86サーバー企業となった後、照準を日本市場に定めて国際化を推進してきた。楊元慶CEOは、「現時点では日本で販売される製品すべてが中国製だが、一部法人向けパソコンの生産をNECの工場に移管する」と述べ、今後山形県にあるNEC米沢工場で「レノボ」ブランドのパソコン生産が開始することとなった。
同工場では上位機種の「ThinkPad」シリーズのハイスペックモデル「X1Carbon」と「Tシリーズ」を生産する計画。これらの機種はユーザーのニーズに合わせたカスタマイズが可能で、初期段階では毎年5万台を生産し、その後ユーザーのオーダーメイド型機種の生産へと拡大していく方針だ。レノボはこれまで関連製品を中国の自社工場や生産委託工場で生産していた。
情報によると、オーダーメイドパソコンの納期は約2週間だったが、日本での生産が実現すれば納期は半減できるという。富士通や米HP(ヒューレット・パッカード)も日本で大部分のオーダーメイドパソコンを生産しているため、レノボは納期が原因で市場を失っていた。日本生産は人件費がやや高いというハンディがあるものの、生産効率が向上されれば販路拡大が望めるとしている。
このほか、レノボは日本での生産を通じて製品品質の向上も期待しており、修理を含むアフターサービスも同工場で行い、顧客満足度の向上を図る。また、同工場で生産されるNECブランド製品とレノボブランド製品の部品規格統一化を進め、さらなる生産コスト削減を図る。
レノボとNECは2011年に合弁会社を設立しており、当時2016年7月までだった契約を今回10年延長する。また、レノボはNECの出資比率を現在の49%から33.4%に引き下げるよう求めており、今後自社の影響力を高めていく狙いだ。
「人民網日本語版」2014年10月11日